ドイツ・ファンタスティック街道と南仏の美しい村を訪ねて
Fantastic Road in southwest Germany & the beautiful villages in French Riviera
9.美しき幻想の村ペイヨン(Peillon)
むかしむかし、まだフランスもフランク王国もなかった頃
ニースから少し内陸に入った岩山の頂にPelheonという村がありました。
険しい断崖の上という自然の要塞に囲まれたその村には、
ひっそりと積み重なる灰色の石造りの家々の間を、
狭い路地と階段が縫うように走り、教会の鐘の音だけが響いていました。
なんとファンタジー心を誘う景観なのでしょう!
そんなまるでおとぎ話から抜けでてきたような佇まいの小さな
鷲の巣村がニースからたった20キロほどのところにあるのです。
それが今回ご紹介するPEILLON。
PEILLON
http://www.beyond.fr/villages/peillon.html
しかし、ニースからたった20キロを真に受けてはいけません。
高速道路や国道を20キロならほんの10分足らず。それがヘアピンカーブの連続だったら?旅行者は二の足を踏むかも。
地図に表示されている折り重なるマークもなんのその、
コート・ダジュールの美しい小さな村を訪ねる、というテーマを追求する取材班にとっては、観光地化されていないこんな村こそが魅力。
しかも、ピトレスク(絵のような)な景観に加え、
ミシュランの一つ星を獲得したレストランを持つオーベルジュ(旅籠)があるというのですから行かない手はありません。
ニースからのアクセスは現地でと、ニースのエアポートのインフォメーションや町中のインフォメーションオフィスで聞いたものの、「Peillonってどこ?」といった調子で、
守備範囲ではないから分からないと調べてくれず(フランスではありがち)、結局ニース駅のインフォメーションでやっと道順を教えてもらいました。ニースの郊外で、オートルートを降り、イタリア国境に向かって国道を20分ほど走ります。その後は、インフォメーションの情報をたよりに地方道を幾度か曲がると、とある村に。そして目をあげた視線の先に天空の城?と見紛う村の姿!
今度は、その姿を求めて細い山道をひたすら登っていきます。下ってくる車がほとんど無かったのは幸いでした。片側は絶壁なんですから。
次第に村の全容が現れてくると同時に、ベストショットを阻む雲もどんどん流れてきます。
一本道を進んだ終点が、村の入り口前広場。木々に囲まれた、そこが唯一の村の駐車場。
広場には、旧い噴水があり今でも枯れず水が流れています。
PEILLONと表示がある村のエントランスを抜けると、
アーチとトンネルと階段が入り組む、アップダウンがきつい路地が続きます。
道路表示は古フランス語でしょうか。通りの名前も一般のフランス語表示とは違うのが興味を引きます。
村の最底辺部分は灰色の石造りの家々からできていて、互いに渡り廊下のような構造の《pountins 》という建造物で結ばれ、城郭を強固にしています。これはこの町独特かも知れません。
村の頂上と思われる場所は、教会広場になっていて、16世紀に創建されたEglise Saint-Sauveurという教会が控えめに建っています。
広場からさらに小高い地点に展望台があり、フランスでは珍しく柵が設置されています。それもそのはず、柵の下は絶壁。これでは、さすがの外敵も進入不可。南仏特有のすばらしい山岳風景を眺めながら、命知らず(?)のねこだけが歩いています。
1300人余りの村人、特にお年寄りはどんな風に暮らしているのかしらと思うような急な階段。
村の入り口に、オリーブの木々にかこまれて、昔から営まれているオーベルジュがあります。
こちらが、料理自慢のAuberge de la Madone(オーベルジュ・ドゥ・ラ・マドンヌ)。
オーベルジュとは、「郊外や地方にある宿泊設備を備えたレストラン」(日本オーベルジュ協会のホームページより)
日本オーベルジュ協会
http://japan-auberge.org/index.htm
フランスでは、ミシュランの星のついた地方のレストランは、多くがオーベルジュスタイルです。ですので、レストランの予約はとれても、ホテルの方がとれないことがあるので、
注意が必要。
Auberge de la Madone
http://www.auberge-madone-peillon.com/
たわわに実をつけた黒オリーブの木や、ゼラニウムに囲まれたオーベルジュの広いテラスでティータイム。テーブルには、緑の実をつけたオリーブの鉢植えが飾られています。
ホテルの部屋は、テラスからペイヨンの街が望める絶好のロケーション。
日没後には、教会はライトアップされ、さらに幻想的に。
こちらのオーベルジュ「おもてなしの心」を掲げ、
コートダジュールのまさに隠れ家。
こんな時の止まったような村で、いつかヴァカンスを過ごしたいものだと思ったことでした。