アート&カルチャー


第160回
伝統芸能情報館
Traditional Performing Arts Information Centre
(東京都千代田区)

鬱陶しい梅雨が明け、真夏の太陽がまぶしい季節が始まる7月。 夏休みももうすぐですね。

2020年7月24日から8月9日まで開催される東京オリンピックまであと1年。

海外から多くのお客様を迎え、日本をアピールする機会も増えることでしょう。

それにつけても日本の伝統文化について海外の方に説明できるか心配という方も多いかも。

そこで、今回は、江戸時代に成立した日本の代表的伝統芸能の一つ、「歌舞伎」について様々な情報を発信する 「伝統芸能情報館」をご紹介しましょう。

タイミングよく、「かぶき入門」と題する歌舞伎初心者に向けた企画展示を開催しています。(2019年9月23日[日・祝]まで)

歌舞伎の成り立ちからこんにちまでの歩み、歌舞伎の役柄を表す特徴的な化粧として知られる 「隈取」を詳細に解説。さらに6月と7月の国立劇場歌舞伎鑑賞教室の上演演目について 衣裳や小道具、舞台写真など様々な資料で紹介する展示です。

早速取材してきましたのでご紹介しましょう。

アクセスは、東京メトロ半蔵門線の半蔵門駅6番(エスカレータ、エレベーター有)−1番出口より徒歩約5分が便利。(東京メトロ半蔵門線・有楽町線・南北線永田町駅4番出口より約8分。)

1番出口より、通りの反対側の角にあるコンビニを左折、国立劇場通りを進むと左手に国立劇場の裏門がありますので、表示に従い進むと伝統芸能情報館正面玄関に出られます。

伝統芸能情報館の1階は、情報展示室、2階は図書閲覧室となっています。そして、情報展示室は、博物展示コーナー、 シアターコーナー、視聴覚コーナーから構成されています。

早速1階の情報展示室で開催されている企画展示「かぶき入門」を観てゆきましょう。

まずは、歌舞伎がどのように成り立ち、こんにちまで歩んできたかを年表と錦絵などで説明するコーナーから始めましょう。

歌舞伎は、慶長8年(1603)出雲の巫女・お国という女性芸能者の<かぶき踊>が京で大好評を博したのが始まりとされています。 その後、女歌舞伎から若衆歌舞伎と発展しましたが、風俗を乱すとのことで禁止され、前髪を剃り落とす野郎頭の男たちだけで演じる野郎歌舞伎が誕生しました。 そして、立役や敵役などの役柄が生まれ、男が演じる「女方」が生まれました。

元禄期には、歌舞伎は、江戸・京都・大坂の三都で繁栄。荒々しく演じる「荒事」や優美に演じる「和事」が成立。 義太夫狂言の流行も影響し飛躍的に発展します。

そして、1842年の歌舞伎への弾圧により猿若町が誕生。河竹黙阿弥が活躍し、歌舞伎の近代化も進みます。

さらに、古典化と現代化をへて昭和41年(1966)に国立劇場が開場し、平成20年(2008年)世界無形文化遺産に登録され、世界的にも認知され、現在に至っているというわけです。

詳しくは是非伝統芸能情報館の展示でご確認くださいね。

さて、次のコーナーでは「歌舞伎の化粧について」と題し、歌舞伎の特徴である「隈取」について紹介しています。

歌舞伎独特の化粧法である「隈取」は、さまざまな登場人物の性格や身分を表現するとあります。 町人の身分や悪人を表現する場合は茶色に近い肌色、大悪人の手下や家来は、「赤っ面」と称する 顔を赤く塗った表現です。このように役柄を示す一色で顔全体を塗った上に眉、目元、口紅を赤・黒・青の色で描きます。 赤は口紅や頬紅に、黒は眉や口元、青は、武士の月代や髭剃り跡に用いられるそうです。

芝居小屋などで遠くの観客が役者の表情を見やすくするために主に使われる「隈取」、 その種類は、筋隈、一本隈、二本隈、むきみ、公家荒、猿隈 変化隈、火焔隈など数十種類に及ぶとか。 「隈取」の基本的な知識があると歌舞伎をもっと楽しめることでしょう。

また、このコーナーでは、 さまざまな化粧道具や俳優の隈取を役が終わってから布または紙を顔へ押しあてて写しとり制作する「押隈」も 展示されています。

さて次の展示は、国立劇場6月の歌舞伎鑑賞教室の演目、「神霊矢口渡」のご紹介です。この作品はなんと江戸の 異色の科学者・平賀源内の作だとか!

鎌倉幕府滅亡後、朝廷が2派に対立したという軍記物の『太平記』を「福内鬼外」というペンネームで ドラマティックに仕上げた作品です。

このコーナーでは、舞台に登場する刀や煙草盆などの小道具、舞台写真などが展示されていて興味深いです。

さて、次は華やかな歌舞伎の舞台を模した体験コーナー。インスタ映えする設えなので、歌舞伎俳優になったつもりで、 お子様と写真におさまってみてはいかがでしょう。

そして、最後に登場するのが、7月の国立劇場歌舞伎鑑賞教室のご紹介コーナー。

演目は、「菅原伝授手習鑑ー車引ー」と「棒しばり」。いずれも大人気の演目です。

「菅原伝授手習鑑−吉田社頭車引の場−」より桜丸の色彩豊かな衣裳や狂言の「棒しばり」で使用される装束や小道具など が展示されていますので、お見逃しなく!

展示を観ていると、実際に7月の歌舞伎鑑賞教室に参加したくなるのでは?

奥のシアタースペースでは、今回の企画展「かぶき入門」に関連するビデオ「歌舞伎の魅力 衣裳と化粧」や 歌舞伎俳優研修生教材「江戸歌舞伎の華ー荒事入門ー」、そして、各地の国立劇場のご案内・「国立劇場めぐり」 が上映されていますので、お時間があればご覧になるのもおススメです。

また、情報展示室の一角では文化デジタルライブラリーの視聴もできますので、歌舞伎や能楽、文楽など日本の伝統芸能について 学ぶことができます。

さらに詳しい調べものなどは、2階の図書閲覧室が利用できます。

7月のひと時、歌舞伎初心者も上級者も伝統芸能情報館にいらしてみませんか?

企画展示「かぶき入門」で歌舞伎の歴史や特徴を学べば歌舞伎をより楽しむことができるでしょう。

外国人の友人・知人に歌舞伎についてプチ解説できるかも。

夏休みのお出かけスポットとしてもおススメです。

また、国立劇場では、夏休み親子企画として、2019年7月19日(金)から24日(水)まで「親子で楽しむ歌舞伎教室」も 開催されますので、お子様と参加されてはいかがでしょう。(チケットが完売されている場合もありますので、ご確認ください。)

そして観劇の前後には、是非伝統芸能情報館にもお立ち寄りくださいね。

お子様の歌舞伎デビューとしてもおススメです。

また、国立劇場の2019年7月歌舞伎鑑賞教室では、前述した「菅原伝授手習鑑−車引−」と「棒しばり」が上演されますので、 こちらもおススメです(2019年7月3日(水)から24日(水)まで)。

さらに国立劇場に隣接して、国立演芸場もありますので落語など日本の大衆芸能にご興味のある方はお立ち寄りになってはいかがでしょう。 2019年7月21日(日)まで、演芸資料室で、国立演芸場開場四十周年記念の演芸資料展「国立演芸場40年の歩み」が開催されています。





参考資料:「歌舞伎の成立と特徴」
     伝統芸能情報館 企画展示「かぶき入門」
     令和元年6月1日(土】〜9月23日(月・祝)
     監修・吉田弥生(フェリス女学院大学教授)
      





【赤ちゃん連れのお母様へ】
・伝統芸能情報館はベビーカーで入館できます。
・おむつ替えは、受付でご相談ください。3階の女性用トイレのおむつ替えシートを ご案内いただけるそうです。





このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気 に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。 お待ちしております。




国立劇場・伝統芸能情報館

伝統芸能情報館 エントランス
 

企画展示「かぶき入門」
(2019年9月23日[月・祝]まで)

情報展示室風景

情報展示室風景

情報展示室風景

情報展示室風景
文化デジタルライブラリー

「親子で楽しむ 歌舞伎教室教室」
(2019年7月19日[金]〜24日[水])

国立劇場

国立演芸場



 



施設情報

伝統芸能情報館
(独立行政法人 日本芸術文化振興会)

住所:東京都千代田区隼町4−1

TEL:03-3265-6300(直通)

・情報展示室(1階)
 開室時間:10:00〜18:00
 *第3水曜日は、20:00まで
 (第3水曜日が祝日の時は翌日の木曜日)
 [休室日]創立記念日(7月1日)・年末年始

・図書閲覧室(2階)
 開室時間:10:00〜17:00
 *第3水曜日は、20:00まで
 (第3水曜日が祝日の時は翌日の木曜日)
 [休室日]土曜日、日曜日(第2日曜日を除く)
 祝日・月末整理日 整理期間(夏季・冬季)
 創立記念日(7月1日)・年末年始

展示室観覧料:無料

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
伝統芸能情報館をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:
伝統芸能情報館
ダウンロード不可
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