アート&カルチャー


第163回 市川市東山魁夷記念館
Higashiyama Kaii Memorial Hall

(千葉県市川市)

芸術の秋、スポーツの秋、実りの秋、豊かな日本の秋がやってきました。 10月は秋をさがしにでかけるには絶好の季節ですね。

錦織りなす日本の秋の風景は、世界でもとびきりの美しさ! 風景画を描くアーティストにとっても秋は、モティーフにことかかない季節でしょう。

さて、現代の日本の風景画といえば、東山魁夷(1908年−1999年)の作品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

日本画の伝統をふまえつつ、モダンにして清澄、平明でありながら深い精神性をたたえた作品たちに魅せられる人たちが後をたちません。 「国民的画家」といわれる所以です。

そこで、今月の「赤ちゃん連れでも楽しめるミュージアム」は、千葉県市川市に位置する「市川市東山魁夷記念館」をご紹介しましょう。

市川市東山魁夷記念館は、20世紀の日本を代表する日本画家、東山魁夷が生涯の大半を過ごしたゆかりの地、 市川市に、2005(平成17)年11月に開館しました。

そのコレクションは、≪緑映≫≪夏に入る≫≪雪野≫をはじめとする本制作、≪道(試作)≫など試作・習作、また、 ≪萬緑新(大下図)≫≪爽明(小下図)≫などの下図を含めた日本画28点(寄託含む)のほか、リトグラフや木版画・複製画など337点に及びます。 さらに、直筆の書や原稿、愛用品、書籍など東山魁夷に関する資料を数多く所蔵しています。

市川市東山魁夷記念館では、「人間・東山魁夷」をコンセプトに、資料展示と作品展示を通し東山魁夷の生涯と業績を紹介しています。

現在開催されている展覧会が、通常展「風景讃歌 後期」(2019年10月20日(日)まで)。取材してきましたので、ご紹介しましょう。

東山魁夷記念館までのアクセスは、JR下総中山駅よりバスを使い「北方」バス停で下車約1分が便利。バス停の向かい側に見える 西洋風の外観が印象的な建物が東山魁夷記念館です。

東山魁夷の人間形成と東山芸術の方向性に影響を与えたといわれる留学の地、 ドイツの街並みを彷彿とさせる建物や八角形の塔の上に立つ 風見馬が出迎えてくれます。

八角形の塔の入口を入り受付でチケットを購入、早速右手展示室棟に向かいましょう。 1F展示室は、東山魁夷の人生を遺品、書籍等の資料で紹介しています。

通常展「風景讃歌 後期」の出品目録には、次のようにあります。「1929(昭和4)年、第10回帝展の初入選によって日本画家としての一歩を踏み出した東山魁夷は、 1947(昭和22)年、《残照》(第3回日展)の発表を以て、特選・政府買い上げという転機をむかえ、日本画壇における地位を確かなものとしてゆきます。 戦後、風景画家として立つことを決意した魁夷は、生涯の師である結城素明から授かった「心を鏡のようにして自然を見ておいで」という言葉を深く心に刻み、 深い精神性を宿した静謐な世界観を構築しました。 東山芸術の魅力は、自然との対話から紡ぎ出された美の調和にあり、それは自らの心象を画面に託すことから生まれました。 このたびの通常展は、東山魁夷の初期から晩年に至るまでの「風景讃歌」世界を紹介します。」

1F展示室の見所は、1952年制作の《秋風行画巻(大下図)》 や「結城素明門下生小下図」、「川ア小虎門下生小下図」。 また、両親にあてた葉書や手紙など、順風満帆にみえる東山魁夷の生涯が、実は、波乱にみちた孤独なものであった一面を垣間見られる資料群でしょうか。 さらに展示室壁面上部には、東山魁夷使用の貴重な岩絵具の青系統55点が展示されていますので、お見逃しなく!

さて、1F展示室で東山魁夷の生涯をたどったら、2Fに向かいましょう。2F展示室では東山魁夷の作品群により、彼の「風景讃歌」世界が展開されています。

まずは初期の作品《残雪の山》(昭和20年代・紙本彩色)《高原秋色(小下図)》(1936年・紙本彩色)。そして、自然との一体感を感じ、風景に開眼したといわれる 東山芸術の幕開けを告げる《残照》(リトグラフ)。次に、戦後の日本画を代表するといわれる《道》(複製画)、長野・野尻湖から望んだ黒姫山を描いた《光昏》(複製画)などが展示されています。

なんといっても見所なのが、《緑映》(1988年・紙本彩色)。深い緑の森と湖に投影された光景との調和が絶妙な傑作です。お見逃しなく! さらに黄金色の落ち葉をゴージャスに描いた《行く秋》(リトグラフ)、最後に絶筆となった《夕星》(リトグラフ)などに目がひきつけられます。

いずれも東山魁夷の魅力的な作品たち。東山の「風景讃歌」世界を楽しむことができるでしょう。

さて、たっぷり展示を楽しんだらドイツ風たたずまいの2F休憩室で各種資料を参照しながら一休みするのもいいかもしれません。

また、お時間があれば1F多目的室で上映されている在りし日の東山魁夷画伯の姿を伝えるDVDを観るのもおススメです。

1Fミュージアムショップには、書籍、絵葉書、オリジナルグッズが取り揃えられていますので、お立ち寄りになっては?

KAIIの森に面してテラスのあるカフェ「8代葵カフェ」では、各種ドリンクやスウィーツ、軽食で、ランチやティータイムをくつろぐことができます。

10月の一日、市川市東山魁夷記念館にいらしてみませんか?

通常展「風景讃歌 後期」(2019年10月20日(日)まで)を通して、20世紀を代表する日本画家、東山魁夷の生涯を知り、作品を味わい、癒されたり、元気をいただいたり、 素敵な時間を過ごすことができるでしょう。

また、2019年10月26日(土)から12月22日(日)まで、特別展「東山魁夷 日本美の象徴」が開催されます。 (観覧料 一般600円、65歳以上480円、高校・大学生300円、中学生以下無料)

東山魁夷は、皇居新宮殿新築に伴い、壁画「朝明けの潮」を制作しました。本展では、東京国立近代美術館の特別協力を得て、 本壁画制作の全貌を紹介し、東山魁夷の日本美の象徴に迫る展覧会だそうです。こちらの展覧会もおすすめ!是非おでかけくださいね。

                                                                            



【赤ちゃん連れのお母様へ】
・館内はベビーカーでご覧になれます。(ベビーカーの貸し出しはありません)
・おむつ交換台つきトイレは、1Fのバリアフリートイレにあります。
・館内で授乳をご希望の方は受付にお申し出ください。



このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気 に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。 お待ちしております。






市川市東山魁夷記念館 案内板

市川市東山魁夷記念館 

市川市東山魁夷記念館

1F展示室

2F休憩室

カフェ「8代葵カフェ」






施設情報

市川市東山魁夷記念館 

住所:千葉県市川市中山1丁目16番2号

TEL:047-333-2011

開館時間:
10:00−17:00(入館は16:30まで)

休館日:
月曜日(祝休日にあたる時は開館し、翌平日が休館)
展示替え期間(詳しいスケジュールについては
展覧会案内のページをご覧ください)
年末年始

観覧料:
一般 520円  / 65歳以上 410円
高校・大学生 260円 / 中学生以下 無料
※特別展の料金については別に定めます

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
市川市東山魁夷記念館 をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:
市川市東山魁夷記念館
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