アート&カルチャー


第147回 漱石山房記念館
  Natsume Soseki Memorial Museum
(東京都新宿区)



6月、雨の季節ですね。

今年は、春から不安定な気候に悩まされましたが、 6月はいったいどうなるのでしょう。

しかし、いずれにしても梅雨はやってきます。農作物のためにはやってこなくてはこまります。 それならむしろこの時期を楽しむ方法を見つけた方が得策ですね。

静かに文学に親しむのも、都心のミュージアムに出かけるのもいいかもしれません。

そこで、今月はその両方を楽しめる旬のミュージアムをご紹介しましょう。

しかもそこの主は、時代を超え、幅広い世代に愛されている国民的文豪・夏目漱石(1867−1916)、 彼が作家として活動し、亡くなった「漱石山房」の跡地に建つ「漱石山房記念館」です。

新宿区立漱石山房記念館
http://soseki-museum.jp/

「漱石山房記念館」は、夏目漱石の生誕150周年を記念して2017年(平成29年)9月24日、 新宿区が設置・開館したミュージアムです。

漱石は、江戸牛込馬場下横町(現在の新宿区喜久井町)に生まれ、牛込区早稲田南町(現在の新宿区早稲田南町)の 「漱石山房」で没しました。11年の作家生活のうち後半の9年を過ごし、代表作の数々を執筆したのも「漱石山房」です。 従って新宿は、彼にとってとてもゆかりの深い町なのです。

というわけで、漱石にとって初の本格的記念館となる「新宿区立漱石山房記念館」が記念の年に記念の地に開館したのですね。

この記念館では、漱石関連資料の収集・保管を行うとともに、漱石やその文学世界、また木曜会に集った門下生たちについて 紹介しています。

また、図書室やブックカフェでは、漱石の作品や関連図書に触れることができるという夏目漱石ワールドをディープに楽しめる施設となっています。

早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。

アクセスは、東京メトロ東西線早稲田駅1番出口より徒歩10分が便利です。1番出口を出て、早稲田通りを渡り 八百屋さんの右手に設置されている表示に従って左手に住宅街を約10分ほど進むと、左手に、緑のエクステリア、個性的なデザインが印象的な ガラス張りのスタイリッシュな建物が現れます。こちらが、「新宿区立漱石山房記念館」です。

エントランスを入ると、正面左手の大きなグラフィックパネルに描かれた黒猫とダンディな夏目漱石が出迎えてくれます。

1階は、導入展示(無料)、「漱石山房再現展示室」(有料)とブックカフェ(無料)で構成されています。

導入展示では、漱石と新宿の関わり、漱石の生涯、人物像、漱石の家族など、 漱石を知る上で基本的な情報が紹介されています。

次に導入展示の奥の受付で、チケットを購入し、この記念館最大の見どころ、「漱石山房再現展示室」に向かいましょう。

「漱石山房再現展示室」は、「漱石山房」の一部、書斎・客間・ベランダ式回廊の建築が再現され、このうち 書斎については、内部も再現されていて圧巻です。

漱石が晩年の9年間を暮らした「漱石山房」は、元はアメリカ帰りの医師が建てた家で、 和洋折衷の平屋建て、庭の大きな芭蕉の木やモダンなベランダ式回廊が印象的な建物です。

早稲田南町に転居した頃から文筆業に専念し始めた漱石は、この家で、『三四郎』、『こゝろ』、『道草』などの 名作を創作し、『明暗』連載中、胃潰瘍の悪化により49年の生涯を閉じたと思うと感慨深いものがあります。

さて次は、黒猫に導かれ、2F展示室に進みましょう。

2Fの通常展示では、漱石と作品世界、漱石を取り巻く人々や漱石と俳句、書画 などについて紹介するほか、新宿区が所蔵する原稿・草稿や書簡、初版本などの1次資料を展示公開しています。

「漱石の言葉」と題する展示では、『吾輩は猫である』や『草枕』など漱石の代表作の中から抜粋された心にひびくフレーズの 数々に出合えるでしょう。

そして、吹抜を通り、漱石の作品世界のコーナーに進みましょう。「漱石の作品世界T(明治38年〜40年)」では、漱石のデビュー作品 『吾輩は猫である』などの作品や「漱石の美術」について紹介されています。

「漱石の作品世界U(明治40年〜43年)」では、『虞美人草』、『三四郎』など装丁も美しい初版本を観ることができます。

さらに「漱石の作品世界V(明治44年〜大正3年)」では、『彼岸過迄』や『こゝろ』、「漱石の作品世界W(大正3年〜大正5年)」では、 『道草』、『明暗』、『硝子戸の中』など素晴らしい装丁の初版本が展示されています。 

奥の展示室では、2018年7月16日(月・祝)まで《通常展》テーマ展示「漱石と新宿 神楽坂編」が開催されています。

夏目漱石の「それから」、「坊っちゃん」、「硝子戸の中」などの作品にも描写され、落語や講談を好んだ漱石が贔屓にした寄席「牛込亭」や 「和良店亭」(わらだなてい)、原稿用紙を買い求めた「相馬屋」などもある、漱石自身も慣れ親しんだ土地、 また、明治時代を過ごした文士たちにとっても関わりの深い場所であった「神楽坂」。

記念館からもほど近い、文学を育んだ街・神楽坂に焦点を当てながら、漱石とその作品、また関わりのある文士について紹介する展示となっています。

さて、たっぷり展示を楽しんだら、1Fの前庭の緑を背景にした明るいブックカフェで、漱石作品や関連図書を読みながらしばしくつろいではいかがでしょう。

「CAFE SOSEKI」では、こだわりのドリンクやスウィーツが取り揃えられています。漱石もお気に入りだったという和菓子の老舗の 「空也もなか」と飲み物セットなどここでしか味わえないメニューもあります。

B1Fには、情報検索システムや漱石作品や関連図書を約3500冊揃える図書室がありますので、漱石作品や漱石に関してより深く知りたい方は、 ご利用になってはいかがでしょう。(※閲覧のみ、貸出は行っていません)

また、1F 受付脇のミュージアムショップには、記念館の公式ガイドブックやオリジナルグッズなどが取り揃えられていますので覗いてみては?

さらにお時間あれば、記念館前に植栽されている漱石山房を象徴するバショウやトクサなど、作品や記録に残る植物を見ながら、 記念館に隣接する「漱石公園」に立ち寄られるのもおススメです。

漱石が晩年の9年間を暮した「漱石山房」があった敷地の一部は、「新宿区立漱石公園」として整備され、 園内には富永直樹製作の漱石胸像や、「猫塚」があります。また、「道草庵」では漱石や漱石山房に関する資料が展示されています。

6月の一日東京新宿・早稲田南町に位置する「新宿区立漱石山房記念館」にいらしてみませんか?

漱石山房再現展示室や写真展示、様々なパネル展示や初版本の装丁、さらに庭の植物などを通して 国民的文豪・夏目漱石の人と作品世界をよりイメージしやすくなるかもしれません。

明るく、居心地よいブックカフェでゆったりと作品を楽しみ素敵な時間を過ごすことができるでしょう。

お天気の良い日には、周辺まち歩きマップ「漱石の散歩道」片手に神楽坂あたりまでそぞろ歩きされるのもおススメです。





【赤ちゃん連れのお母様へ】
・漱石山房記念館はベビーカーで入館できます。
・オムツ替えは、1Fと2Fの多目的トイレにオムツ替えシートが設置されています。
・授乳室が設置されています。






このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。 お待ちしております。




漱石山房記念館

漱石山房記念館・前庭

エントランスパネル

1F 導入展示

1F 漱石山房の書斎再現

2F 漱石の作品世界

B1F 情報検索システム 、奥:図書室

1F ブックカフェ


1F CAFE SOSEKI


漱石公園・猫塚



 



施設情報

新宿区立漱石山房記念館

住所:東京都新宿区早稲田南町7

TEL:03-3205-0209 

開館時間:
10時00分〜18時00分(入館は17時30分まで)
※漱石公園開園時間:4月〜9月…8時〜19時、10月〜3月…8時〜18時
※ブックカフェ利用時間:10時〜17時30分
(ラストオーダー17時)

休館日:
・月曜日
*月曜日が休日の場合は、直後の休日でない日
・年末年始
・その他設備維持のため等の臨時休館日
※漱石公園は年中無休

観覧料(通常展):一般/300円、小・中学生/100円
※特別展等の開催時の観覧料は、内容により変更有
※小・中学生は下記の学校休業中は観覧料免除
・土曜日・日曜日
・国民の祝日(振替休日を含む)
・都民の日(10月1日)
・新宿区立小中学校の夏季・冬季・春季休業日
※障害者手帳をお持ちの方は、受付に提示されると観覧料が無料

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
新宿区立漱石山房記念館   をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:
新宿区立漱石山房記念館

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