アート&カルチャー


第135回 世田谷文学館 (東京都世田谷区)
Setagaya Literary Museum



6月、緑溢れる季節ですね。

都内でも武蔵野の面影を残す西の郊外は、とりわけ緑豊かな地域。

中でも世田谷区は明治の徳冨蘆花をはじめ、数多くの文学者・芸術家が居を構えてきた 都内屈指の住宅地。良好な自然環境、質の高い文化的な風土で知られています。

今回ご紹介する「世田谷文学館」は、そんな世田谷区の京王線「芦花公園」駅からほど近い 閑静なエリアにたたずむ文学を体験するミュージアムです。

世田谷文学館
http://www.setabun.or.jp/

1995年(平成7年)4月、東京23区では初の近代総合文学館として開館しました。

『ジャンルの枠にとらわれない文学館』『幅広い層に親しまれる文学館』 『生き生きと活動する文学館』を コンセプトに活動しています。

そのコレクションは、主として明治以降の世田谷区にゆかりのある文学と文学者に関する資料。 現在、約10万点の資料を収蔵し、それらを活用したコレクション展が年2回開催されています。

また、世田谷ゆかりの文学者や作品を紹介する企画展や文学と美術、映像、音楽などジャンル横断的な テーマ、お子さまやご家族で楽しめる絵本や児童文学の企画展などを年4回開催しています。

現在開催されている展覧会が「世田谷文学館」リオープン記念企画展第1弾「ムットー二・パラダイス」。 (2017年6月25日[日]まで)

「ムットーニ」こと武藤政彦(むとう・まさひこ 1956-)氏は、独創的な自動からくり人形作家として知られるアーティストです。

人形と装置の多様な動きにあわせ、音楽、光、本人の語りなどが重なり合いながら、物語や世界観を表現する作品は、 多くの人びとを魅了してきました。

今回の展覧会は、今年造形作家としてのキャリア30年を迎える氏の集大成となる展覧会。

これは見逃せません。早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。

「世田谷文学館」までのアクセスは、京王線「芦花公園」駅下車徒歩5分。 南口を出て右方向へ「千歳通り」に沿って進むと左手に案内表示があります。

左手木立の中を進むと、緑に囲まれた、ブルーガラスの外観が印象的な3階建てのスタイリッシュな 建物が見えます。こちらが、「世田谷文学館」です。

緑豊かな前庭にはこの時期の花、紫のカキツバタが咲き、建物に沿った池には錦鯉が泳ぐ風情もステキ!

光溢れる広々としたエントランスに入り、受付でチケットを購入、早速「ムットー二・パラダイス」展が 開催されている2Fに進みましょう。(エレベーター有)

この展覧会の立役者、ムットーニ氏の写真パネルが出迎えてくれます。

ムットーニのからくり人形劇場の始まりです。

「ムットーニ・パラダイス」展は、入り口で配布される出品作品リストに掲載されている タイムテーブルにそって鑑賞するのがスムーズです。 が、ここでは展示エリア順に作品をご紹介してゆきましょう。

まず最初に展示されているのが1987年に発表された初めてのからくり人形作品《天国と地獄》。

そして、不思議な時計の並ぶ「エントランス」を進むと正面に、文学作品をモチーフにした作品が3点並んでいます。 萩原朔太郎の「猫町」、海野十三の「月世界探検記」、中島敦の「山月記」を原作とする作品たち。 いずれも「世田谷文学館」のコレクション。からくり人形とナレーションに思わず引き込まれるでしょう。

「プロローグ」では、ムットーニ氏が30年前に描いた油彩画や人形のパーツなどが並んでいます。 描かれた人物達の面影は、今の人形達にも受け継がれているとか。

続く、「エリア1」では主に文学をモチーフにした作品が展示されています。 中原中也の「地極の天使」を原作とした《アトラスの回想》。 アトラスの夢、翼を広げて舞う天使を天幕まで使って美しく表現した作品。

さらに夏目漱石の「夢十夜」を原作とする《漂流者》。原作を読めばさらに作品を楽しめるかも。

また、摩天楼に囲まれた公園のベンチで寄り添うカップルを表現したロマンティックな作品《摩天楼》なども展示されています。

さて、「エリア2」では、最近の代表的な作品が展示されています。

新作《蜘蛛の糸》は、皆様もご存じ芥川龍之介のはじめての児童文学作品「蜘蛛の糸」を原作としています。 ムットーニ作品では、主人公は上昇と落下を作品が動かなくなるまで繰り返すそうですが。

《ジャングル・パラダイス》は、大変手の込んだ近年の代表作です。

スコールのあがった密林で次々と展開する幻想的な作品世界に魅せられるでしょう。

続いての作品は、《サテライト・キャバレー》。はるか未来、人類が移住した惑星で20世紀を懐かしみ繰り広げられる 音と光のノスタルジックでゴージャスなステージ。

「エリア3」では、《ワルツ》や《マイ・メランコリー・ベイビー》、《ユー・ドント・ノー・ワット・ラブ・イズ》などの時計、 《インターメッツォ》など、音と光の織りなすムーディな作品が魅力的!

そして、「エリア4」では、アルコールにちなむ作品群が展示されています。

次の「エリア5」は、常時稼働の《エリア・キーパー》。透明の筒の中を回転しながらゆっくりと上下する聖人たちのうっとりするような美しさ!

「エリア6」では、《カンターテ・ドミノ》の荘厳なパイプオルガンの響きがフィナーレを飾ります。

からくりの精巧さ、色彩や音楽、光の効果の巧みさ、まさに総合芸術というに相応しいムットーニのバラエティに富む作品世界を堪能できる 「ムットーニ・パラダイス」展。

お見逃しなく!

さて、お時間があれば、1Fのコレクション展に立ち寄るのもいいかもしれません。

2017年度コレクション展前期は、「ut pictura poesis ―詩は絵のように コレクションにみる文学を彩る書画の魅力」が開催されています。(2017年9月18日[月・祝]まで)

「ut pictura poesis ―詩は絵のように」とは、古代ローマの詩人ホラティウスの『詩論』の一節で 詩と絵を「姉妹芸術」とみる芸術観、現在では、文学と美術の共鳴ということだとか。

今回のコレクション展では、文学者による、または文学者にまつわる書画とゆかりの品、そして詩や小説、 児童文学を彩る挿絵やデザイン、近代を代表する表現芸術である映画を支える美術の仕事が紹介されています。

夏目漱石の墨書や愛用の蒔絵短冊箱なども展示されています。

さて、小さなお子さま連れにおすすめなのが、今回のリオープンで誕生した新感覚ライブラリー「ほんとわ(hon-to-wa)」。

子どものためのエリアを拡充し、新たな本との出会いの場ができました。

ネーミングには「本と和」、「本永久」、「本とは?」などいくつもの意味が重なっているとか。

「ほんとわ」空間は、大きく、ベビー&キッズエリアとライブラリーエリアとにわかれ、ベビー&キッズエリアには、絵本や児童文学を中心に 子どもも楽しめる本が揃えられ、授乳室も設置されています。(オムツ替えについては以下の【赤ちゃん連れのお母様へ】へ)

ライブラリーエリアには、群馬県川場村の木製家具が置かれ、企画性のある書棚作りを行っています。

1Fエントランスエリアに設置されたミュージアムショップでは、開催中の企画展カタログやグッズ、世田谷文学館で刊行した書籍、 過去の展覧会図録、オリジナルグッズなどが取り揃えられています。

また、エントランスの窓辺に沿って、椅子とテーブルの置かれた「くつろぎスペース」がありますので、一休みすることができます。 さらにその先には、「喫茶どんぐり」もありますので中庭の緑を眺めながらのランチやカフェに利用できます。

6月の一日、世田谷区の京王線芦花公園駅からほど近い世田谷文学館にいらしてみませんか?

緑に囲まれ、お年寄りから小さなお子さままで皆様に優しい施設で、からくり人形たちのくり広げる夢のような世界に魅了され、 リフレッシュ!ステキな時間を過ごすことができるでしょう。

ギャラリートークなどの関連イベントも開催されますので、世田谷文学館HPで詳細をご確認の上参加されるのもいいかもしれません。

お子さまとライブラリー「ほんとわ」に立ち寄られるのもおすすめです。

また「世田谷文学館」では、2017年7月15日(土)から9月18日(月・祝)まで「山へ!to the mountains」展が開催されます。 「山」を学際的、多角的にとらえ直す初の試みだそう。お楽しみに!









【赤ちゃん連れのお母様へ】
・「世田谷文学館」はベビーカーで入館できます。
・貸し出し用ベビーカーが1台用意されています。
・おむつ交換ができるベビーシートが館内1階の
 多目的トイレ、女性用トイレに設置されています。
・授乳の際は、受付係員の方にお申し出ください。
 授乳室へご案内いただけます。
・地下1階に駐車場がありますので、赤ちゃん連れに便利です。



このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。 お待ちしております。




世田谷文学館

世田谷文学館

世田谷文学館 エントランス



「ムットー二・パラダイス」展 
エントランス 会場風景

エリア2 会場風景

 「ut pictura poesis ―詩は絵のように
  コレクションにみる文学を彩る書画の魅力」展


ほんとわ(hon-to-wa)  

授乳室

ミュージアムショップ

喫茶 どんぐり


 



施設情報

世田谷文学館
(公益財団法人せたがや文化財団)

住所:東京都世田谷区南烏山1-10-10  

TEL:03-5374-9111


開館時間:
午前10時〜午後6時
(展覧会入場、ミュージアムショップの営業は午後5時30分まで)

休館日:
毎週月曜日(祝日の時はその翌日)
年末年始(12月29日〜1月3日)
※ただし展示替の期間中は、企画展と
コレクション展の両方を休止する場合有
※館内整備のため休館をする場合有。
詳しくはトップページの休館情報欄をご確認ください。

観覧料:
・「ムットー二・パラダイス」展
(2017年6月25日[日]まで)
一般 800円 / 高校・大学生・65歳以上 600円
小・中学生/300 円

*企画展は企画内容によって観覧料が異なります。
*企画展の観覧券でコレクション展も観覧できます。

・コレクション展
一般 200円 / 高校・大学生 150円/
小・中学生・65歳以上/100 円

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
世田谷文学館 をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:世田谷文学館

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