アート&カルチャー


第166回 大倉集古館 
OKURA MUSEUM OF ART
東京都港区



令和になって初めての年明け、皆様お健やかにお迎えのことでしょう。

今年も皆様のご参考になるような選りすぐりのミュージアムをご紹介してゆきますので、 引き続きどうぞよろしくお願い致します。

さて、令和2年の年頭を飾るのは、日本で最初の私立美術館「大倉集古館」です。長期間の増改築を経て昨年(2019年9月) リニューアルオープンされたばかり。

また、開催中の新春特集展示・能と吉祥「寿―Kotohogi―」(2019年12月24日〜2020年1月26日)では、 新年を吉祥文様と能で祝い、能装束と工芸を中心とした華やぎに満ちた作品たち、また近年新収蔵品に加わった鈴木守一筆「石橋・牡丹図」、 さらに国宝「普賢菩薩騎象像」も特別展示されるという超豪華なラインアップです。

「美術館へ初詣」にぴったりの展覧会!

早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。

アクセスは、東京メトロ南北線六本木一丁目駅改札口(泉ガーデン方面)より5分が便利です。

駅改札を泉ガーデン方面に出て、エスカレーターで以前ご紹介した泉屋博古館分館まで進み、博古館前の道を左折し、 さらに直進し、ホテルオークラ分館に沿い進むと右手に中国風デザインが印象的な建物が現れます。こちらが大倉集古館です。

三叉路を緑の垣根に沿って右折すると左手に大倉集古館、そして水盤を配した広大な庭に面して<The Okura Tokyo>の超高層ホテルが 形作るジャパニーズモダンな景観が広がっています。どこか京都国立博物館ににかよった雰囲気を感じるのは、 設計に建築家・谷口吉生氏が関わっているからでしょうか。

ところで、大倉集古館は明治から大正時代にかけて活躍した実業家・大倉喜八郎(1837〜1928年)が設立した日本で最初の私立美術館です。 喜八郎が生涯をかけて収集した日本と東洋の古美術品と、跡を継いだ嫡男大倉喜七郎(1882〜1963年)が収集した日本の近代絵画などを収蔵・展示しています。

その創設は大倉喜八郎が明治32(1898)年東京の赤坂自邸内に美術館を建てるところから始まり、大正6(1917)年にそれを財団法人化して大倉集古館としましたが、 大正12(1923)年の関東大震災で当初の建物と陳列中の所蔵品を失ってしまいました。 しかし、残された作品を中心に、築地本願寺の設計も手がけた建築家・伊東忠太の設計による鉄筋コンクリート造・地上2階建ての陳列館を新築し、 昭和3(1928)年に再開館したのが1998年に国の登録有形文化財となった現在の建物です。

そのコレクションは、国宝3点、重要文化財13点、重要美術品44件を含む美術品約2500点から構成されています。それらのコレクションは、年数回開催される企画展で展示されています。

今回開催されているのが、新春特集展示・能と吉祥「寿―Kotohogi―」。(2019年12月24日(火)〜2020年1月26日(日)) 新年を寿ぎ、松竹梅・宝尽くし、扇といった吉祥文様に着目して能装束と工芸を中心に構成される展覧会です。

早速正面入口に展示されている木造彫刻を横目に「大倉集古館」と書かれた古風な額の架かるエントランスを入り、受付でチケットを購入し、 展示室に進みましょう。

エントランス正面には、高さ3メートルを超す砂岩製の堂々とした巨像「如来立像」が来館者を出迎えるように展示されています。

まず向かうのは、今回の展覧会会期中に特別公開されている国宝「普賢菩薩騎象像」。

6牙の象に合掌して結跏趺坐する普賢菩薩の像は中国で絵画や彫刻に表現され日本に伝わったといわれています。特に平安時代初期に最澄が天台宗を伝えてから 日本でも多く制作されたそう。こちらの作品は、平安時代後期に制作された端正で優美な作風が見所です。

さて次に「寿―Kotohogi―」展を、受付右手から観てゆきましょう。

まず工芸作品から、「長生殿蒔絵手箱(模造)」が展示されています。扇面が散らされ、そこには秋草や松竹、飛鳥などの吉祥文様が 描かれています。

次は江戸時代の美しい2点の能装束です。右手の「紅白段業平菱菊模様唐織」は、小菊など秋の草花が生い茂る野の風景を金箔を 切りぬい付ける手法をとり華やかさを増したデザインも斬新な唐織です。

続く能装束「紅地檜扇菊梅模様縫入長絹」には目が奪われます。長絹とは、能装束の主に貴族や天女などの女役が用いる広袖の上着のことをいい、 軽やかに透ける絽や紗の地に色糸や金糸を織り込んで模様を表します。 この作品は、要の辺りに黄、白、金の菊花の模様をあしらった金糸による檜扇を配し、さらに梅花をちらした華やかで洗練された作品です。 こちらの装束を纏って舞う舞台が観てみたくなりますね。

さて、ガラスケースの中には、「松竹梅蒔絵十種香箱」など吉祥文様の繊細な蒔絵がほどこされた愛らしい作品も展示されています。

さらに鍋島焼の「青磁染付宝尽文大皿」の三色の帯に宝珠、軍配、蓑、巻子など宝尽文をちらした美しい作品や伊万里焼の「色絵芙蓉手花鳥図大皿」の 宝尽文も素敵です。

能面では、「増女」が見所です。増とは、創作者の増阿弥に由来し、最も品格のある女面とされ、天女や女神などの役に用いられるそう。

また、能面「翁」や能面「獅子口」、仮髪の「赤頭」なども展示され興味深いです。

今回の展覧会では、近年収蔵品として加わった鈴木守一筆「石橋・牡丹図」(3幅、江戸〜明治時代・19世紀)も初公開されています。

鈴木守一は、江戸琳派の旗手鈴木其一の子で、自身も琳派の画家でした。「石橋」は能の作品の一つで、めでたく1日の催しを締めくくる祝言能。 獅子口と赤頭をつけた豪壮な舞が見所だとか。その舞と牡丹を描いた守一の魅力的な作品です。

たっぷり「寿―Kotohogi―」展を楽しんだら、B1Fのミュージアムショップに立ち寄るのもおすすめです。 ショップには、展覧会関連書籍はじめポストカードやミュージアムグッズなどが色々取り揃えられています。

今回の増改築工事で生まれたB1Fには、他に、ロビー、タッチパネルやモニターなどのコーナーもあります。

タッチパネルは、日本語と英語に対応し、収蔵品の解説や拡大画像を観ることができます。また、モニターコーナーでは、 地下階を増築するために用いられた建物自体を6.5メートルずらす曳屋(ひきや)という建築工法などを記録した映像が流されていますので ご覧になるのもいいかもしれません。

2020年の初ミュージアムには、1月2日から開館している大倉集古館にいらしてみませんか?

新春特集展示・能と吉祥「寿―Kotohogi―」(2020年1月26日(日)まで)で、とびきりクオリティの高い美しい作品たち、格調高い作品たちに囲まれ、 華やぎの中にも凛とした新年のひと時を楽しむことができるでしょう。

冬休みのお出かけスポットとしてもおすすめです。



【赤ちゃん連れのお母様へ】
・大倉集古館はベビーカーで入館できます。
・おむつ替えは、B1Fのバリアフリートイレに
おむつ交換台が設置されています。




このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。 お待ちしております。






大倉集古館

前庭(大倉集古館創設者・大倉喜八郎像)

新春特集展示・能と吉祥「寿―Kotohogi―」
2019年12月24日(火)〜2020年1月26日(日)

国宝「普賢菩薩騎象像」
平安時代・12世紀

右:能装束「紅白段業平菱菊模様唐織」
江戸時代・18世紀
左:能装束「紅地梅格子菊模様唐織」
江戸時代・18世紀

能装束「紅地檜扇菊梅模様縫入長絹」
江戸中期・18世紀

漆工「松竹梅蒔絵十種香箱」
江戸時代・18世紀

陶磁器「青磁染付宝尽文大皿」鍋島焼
江戸時代・18世紀

展示風景
中央:「石橋・牡丹図」
 鈴木守一筆 3幅
江戸〜明治時代・19世紀

ミュージアムショップ(地下1階)


*作品はすべて大倉集古館所蔵



施設情報

大倉集古館 (公益財団法人大倉文化財団)

住所:東京都港区虎ノ門2−10‐3(The Okura Tokyo 正面玄関前)

TEL:03-5575-5711

開館時間:
10:00−17:00(入館は16:30まで)

休館日:
月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)
年末年始
展示替期間
展覧会内容、出品作品、会期、展示替え日などの都合により変更になる場合があります。

入館料:一般:1000円(特別展は1300円)*展覧会によって異なる場合有
大学生・高校生:800円 (特別展は1000円)*学生証提示ください。展覧会によって異なる場合有
中学生以下:無料

・同会期中のリピーターは200円引き
・20名以上の団体は、100円引き
・障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料

【新春特集展示・能と吉祥「寿―Kotohogi―」】
2019年12月24日〜2020年1月26日
大倉集古館 1階展示室
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(12月28日〜1月1日は休館・1月13日は開館、1月14日は休館)
入館料:一般、大学生・高校生 一律500円
*「寿―Kotohogi―」展は1階展示室のみの開催になります。 上記入館料は同展限りの設定ですのでご注意ください。
*各種ご優待料金についてはお問い合わせください。

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
大倉集古館 をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:
大倉集古館
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