アート&カルチャー


第165回 紅ミュージアム
BENI Museum
東京都港区



今年も残すところ一か月をきりました。

なにかと慌ただしい年の瀬を迎え、落ち着かない日々をお過ごしの方が多いかもしれません。

しかし、こういうときこそ身近なミュージアムでエネルギーチャージしてみてはいかがでしょう。

そこで、今回ご紹介するのが、東京・港区南青山に位置する「紅ミュージアム」。 「紅」と「化粧」の歴史と文化を紹介する専門資料館です。

ところで、「紅」とは、紅花の花弁から採取する希少な赤色色素のことで、古くから染料、化粧料(口紅・頬紅)、食品着色料などに使われてきました。

さて、紅ミュージアムを運営するのは、文政8年(1825)の創業より秘伝とされてきた「紅」の製法を受け継ぎ、 今も変わらず作り続ける日本で最後の一軒となった紅屋・伊勢半本店。

折しもこの11月、「紅」の文化と技を発信するミュージアムとして活動してきた「伊勢半本店 紅ミュージアム」が、 「紅ミュージアム」と改称し、よりパワーアップしてリニューアルオープンしたということで、 早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。

アクセスは東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線の表参道駅下車B1またはB3出口より徒歩約13分ほど。 お子様連れの方は、エレべーターのあるB3出口がいいかもしれません。

青山通りに沿って渋谷方面に少し進むと骨董通りの表示がありますので左折し、そのまま直進すると左手に紅色のロゴマークが印象的な 紅ミュージアムのエントランスがあります。

扉を開け、受付でミュージアムの見学希望を告げて、早速常設展示室に進みましょう。

常設展示室1では、「紅」を知るをテーマに紅花の生産・流通から市場取引までを概観し、紅屋における紅作りの様子、広告宣伝・販売活動などを 模型や動画・関連資料などで紹介しています。

「経済と文化の交差点・日本橋小舟町」では、絵図などを参考にしながら想定復元した日本橋小舟町1丁目に所在した明治期の紅問屋伊勢屋半右衛門の 店舗模型が見所です。

「紅花産地から需要地へ」と題する展示では、紅花が、一大産地、出羽国(現山形県)村山地区から需要地の大阪、京都へと運ばれ、 紅花ビジネスが展開された様子が紹介されています。

「紅を作る、紅を売る」では紅づくりの技や紅の販売戦略や広告宣伝資料が興味を引きます。

紅づくりとは、紅花(紅餅)から赤色色素を抽出し精製する一連の作業のこと。ここでは、赤色色素の吸着・脱着に不可欠なゾク(麻の束)や 濃縮紅液を濾すための蒸篭(せいろ)、紅を保管したり卸売したりする際に用いた紅箱など、紅屋に伝わる道具類が見所です。

「紅と魔除けの習俗」では、医療が未発達な時代に、病の治癒を願い、あるいは魔除けとして珍重された「紅」が紹介されています。 幼児が身に付けた守巾着や紅摺りの疱瘡絵などの魔除けアイテムに当時の人々の強い思いを感じるでしょう。

さて、紅についてたっぷり学んだら次に常設展示室2に移りましょう。こちらでは、江戸時代を中心に、日本の化粧の歴史が紹介されています。

「身体を飾るー粧いの成り立ち」と題したコーナーでは、縄文時代からの粧いの歴史を年表で辿ります。

「花開く日本の化粧ー赤・白・黒の様式美」では、一般的に江戸時代の女性が化粧をする時に使っていた漆塗りの箱型鏡台など が展示されています。

鏡台前で化粧する女性が描かれた浮世絵など絵画資料を参考に、鏡台やその周辺の化粧道具や結髪道具、房楊枝、化粧水瓶などが 再現展示されていて見ごたえあります。

「携行する小さな化粧道具」では、当時の雅な化粧ポーチを見ることができるでしょう。

次の「浮世絵に見る化粧」では、江戸時代の化粧の有り様が詳細に描かれていて、興味深いです。

続いて展示されている外国人の見た日本人女性の化粧に対するコラムは、その内容が率直にして辛辣で笑えます。

最後の「化粧、新時代の到来」と題する展示は壮観!明治時代以降の口紅と頬紅がずらーと並べられ、その移り変わりを概観できる展示になっています。

近代の口紅と頬紅の変遷、そしてそのほかの化粧品の発展を多数の実物展示からたどれる見所満載の展示です。

最後に「ミュージアムテーマ展示」として、紅ミュージアムのコレクションから江戸時代中期から後期の精緻で美しい簪が、 期間限定で展示されていますので、お見逃しなく!(2020年3月29日まで)

さて、たっぷり展示を楽しんだら、コミュニケーションルームに移りましょう。 こちらには、実際に紅を手に取り、体験できるコーナーがあります。

どなたでも気軽に小町紅のお試しづけ(無料)を体験できる貴重な機会ですのでトライしてみては?

小町紅は、重ねる紅の量や溶く水の量、その人の持つ唇の色によって発色が変わるとか。 なによりびっくりは、紅を水で溶くとその色が玉虫色から鮮やかな赤色に変わること!

良質な紅は、その証として玉虫色の輝きを放つそうで、今や江戸時代と同じ製法のまま玉虫色の口紅を作り続けている紅屋は、伊勢半本店のみだとか。 そして、その技は七代目の指導のもとに、たった二人の職人さんによって支えられているそうですから貴重です。

さて、KNOWLEDGE LABOのコーナーでは、「紅花を科学する」と題し、科学の視点で紅づくりの仕組みを解説したデジタルコンテンツも展示されています。

また、お時間があれば、レストスペースに設置されているタブレット端末を用いた「紅デジタルライブラリー」を閲覧したり、「紅クイズ」 などのデジタルコンテンツにチャレンジするのも楽しいかも。

ミュージアムショップ(BENI GALLERY)では、小町紅やべにばな茶など紅花関連商品、紅ミュージアム関連商品が取り揃えられています。

年末年始のあわただしさで疲れた心と体のエネルギーチャージに紅ミュージアムに立ち寄ってみませんか? 紅やお化粧の歴史について学び、紅を体験することで、気分もリフレッシュ、紅のパワーもいただくことができるでしょう。

いにしえより伝承された自然の恵みと技が生み出す「紅」でパワーをチャージし元気に越年し、 フレッシュな気持ちで新年を迎えてみてはいかが?



                                                                            



【赤ちゃん連れのお母様へ】
・紅ミュージアムはベビーカーで入館できます。
・おむつ替え、授乳については、受付でご相談ください。
別室をご案内いただけるそうです。




このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気 に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。 お待ちしております。






紅ミュージアム

常設展示室1ー「紅」を知る
紅問屋伊勢半の想定復元模型
(復元年代:明治時代前期、縮尺:1/30)

常設展示室1「紅を作る、紅を売る」
紅づくりの道具

常設展示室1「紅と魔除けの習俗」
守巾着
江戸時代後期〜明治時代

常設展示室2―「化粧」のあゆみ
「花開く日本の化粧」

常設展示室2「浮世絵に見る化粧」

常設展示室2「化粧、新時代の到来」

ミュージアムコレクション
(2020年3月29日(日)まで)

コミュニケーションルーム
BENI BEAUTY SALON






施設情報

紅ミュージアム

住所:東京都港区南青山6ー6−20 K's南青山ビル1F

TEL:03-5467-3735

開館時間:
10:00−18:00(入館は17:30まで)

休館日:
毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は翌日休館)
年末年始
創業記念日(7月7日)
展示替え等のため臨時休館あり

入館料:無料
※企画展は展示により有料
[団体見学]
10名以上の団体見学は事前連絡(03−5467−3735)

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
紅ミュージアム をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:
紅ミュージアム
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