特集: flânerie(そぞろ歩き)
特集:東京の散歩道:
玉川上水に沿って:(1)三鷹市風の散歩道(三鷹市
山本有三記念館〜三鷹市美術ギャラリー)
厳寒の2月となりました。とはいえ日差しは次第に強くなってきています。
風のない晴れた日には、そぞろ歩きにでかけるのはいかがでしょう。
心身共に整ってくること請け合いです。
今回のおすすめは東京の・西の郊外に流れる玉川上水に沿って点在する文学者ゆかりの
記念館です。
出発はJR&京王井の頭線吉祥寺駅。駅北口を出てまずは井の頭恩賜公園を目指します。
公園の林のこもれびが心身の疲れをいやしてくれます。
井の頭自然文化園が尽きる辺りで玉川にかかる三鷹橋に出会います。そのまま進めば、ジブリ美術館ですが今回は、
橋を渡って右手の散歩道に進みます。
三鷹駅付近まで延びているこの心地よいな散歩道が「三鷹市風の散歩道」です。
閑静な住宅街をしばらく進むと左手にひときわモダンな大きな洋風の門が見えてきます。
こちらが、作家・山本有三が1936年から1946年まで家族とともに住んだ家です。
現在は「三鷹山本有三記念館」として公開されています。
この邸宅で彼は代表作「路傍の石」や戯曲「米・百俵」などを執筆したそう。
門前にはまさにそのモデルの「路傍の石」が展示されています。
外観も内観も当時ではめずらしい洋風住宅。そのためか戦後米軍に接収されたという過去を持っています。
外観の特徴は複雑な屋根の形状とスクラッチタイルと大谷石の煙突のデザインです。
<山本有三記念館>
側面にも大谷石の煙突のデザインが施されています。
それでは、山荘風木彫の扉を開け館内に入ってみましょう。
1926年頃に建築されたこの建物は、内部に3つの暖炉がしつらえられ、内装に施された凝った木彫デザインが特徴の洋風建築です。
このような設えの中、1階の常設展示では、山本有三の人と作品、三鷹とのかかわりを中心に紹介されています。
紹介ビデオも上映されていますので、ご覧になるのもいいかもしれません。
2階展示室では、令和5年5月3日まで企画展「山本有三ー作家として、教育者として」が開催されています。
「路傍の石」などの作品の作者として誰もが知っている山本有三の教育者としての一面を、
明治大学文化専門部文芸科の科長を務めた期間の活動を中心に取り上げていて興味深いです。
たっぷり建物と展示を楽しんだらさらに「三鷹市風の散歩道」を三鷹方面に進みましょう。
途中には太宰治にゆかりの展示があります。
また、お時間あれば三鷹駅至近、コラル9階の三鷹市美術ギャラリーの一角にある「太宰治展示室 三鷹の此の小さい家」」まで
いらしてみるのもいいかもしれません。
(但し1月17日(火)〜4月7日(金)休室)
DATA
三鷹市下連雀2-12-27
TEL: 0422-42-6233
三鷹市山本有三記念館
http://mitaka.jpn.org/yuzo/