特集: flânerie(そぞろ歩き)

<四季折々の京都>

第49回 桂離宮 その8 月波楼から中門、衝立松へ

5月から7回に渡ってご紹介してきた桂離宮の連載も今回が最後になりました。

月を愛でるために造られた「月波楼」は古書院と同じように池に向かって 建っています。

古書院の月見台が主に月の出を鑑賞することを目的としているのに対し、月破楼は名前のように 池に映る月を鑑賞するために最適な間取りに設計されています。

なんと風雅な建物なのでしょう。

西向きの窓からは、紅葉山の月景色を楽しむことができるのでしょうか?



さて、見所満載の月波楼を後に中門に向かいます。 、

中門をくぐると御輿寄(おこしよせ・玄関)に通じる杉苔に覆われた御輿寄前庭(おこしよせ前庭)が広がっています。



畳石の先、神輿寄手前には、4段の幅の広い石階段があり、その上には沓脱石が設置されています。 ここには、6人分の沓が並べられることから「六つの沓脱」といわれているそう。



石段も沓脱石も御影石のたたき仕上げ。

全体は、中門からのびる畳石を中心に、築山や飛石の配置など凝ったデザインとなっています。



さて、再び中門を通り、道なりに進むと池に突き出た岬にでます。



岬の先端には、「衝立松」と呼ばれる小ぶりの松が植栽されています。 「衝立松」の名の由来は、両側の生垣とともに池の眺めを遮る衝立の役目お果たしているから。

かつてここには住吉の松とよばれる大松があり、この松と相対するように対岸の松琴亭近くには 高砂の松があったと伝えられています。

池の景観の中心をなすように立つ2本の松は古今集の 序にある「あいおいの松」になぞらえているのだとか。

さらに進むと御舟屋に係留中の舟もみることができます。



桂川河畔に造営された桂離宮は、桂川から水を引き、小さな流れや池、 築山を造営して自然景観を創出した廻遊式庭園です。

敷地の中央には中島が浮かぶ大きな池を配し、その西側には書院などの建物、 その南には蹴鞠や弓道などの場として芝庭が 広がっています。

池の周りには外腰掛、卍亭、松琴亭、賞花亭、園林堂、笑意軒、月波楼などの茶亭などを 自然景観と巧みに調和させて配置しています。 意匠を凝らした茶亭などの建物群と庭園とが一体となって桂離宮の美の世界を形作っているのでしょう。

今回は一時間半程度のあわただしい見学でしたが、もっと予習して再訪したい、四季折々訪れてみたいと思いながら離宮を後にしたのでした。