特集: flânerie(そぞろ歩き)

<四季折々の京都>

第50回 妙心寺 退蔵院 @

2021年の特集「そぞろ歩き」は、京都市右京区花園に位置する妙心寺から始めましょう。

妙心寺は、全国に約3400余りの寺院を持つ臨済宗妙心寺派の大本山であり、日本最大の禅寺です。



その広大な敷地には、現在46の塔頭寺院が立ち並び、「雲竜図・日本最古の名梵鐘・明智風呂」など 多くの重要文化財や史跡・名勝指定の庭園や寺宝が保存されています。



山内には縦横に石畳が敷かれた寺町が形成されています。

この日はまず大規模かつ美しい庭園を持つ退蔵院に向かいます。
46もある塔頭の中でも屈指の歴史と規模を誇る寺院です。



退蔵院の山門は、妙心寺塔頭でもバランスの整った美しい形状を残した「薬医門」であると言われており、 江戸中期に建設されたもの。「薬医門」は親柱二本、控え柱二本からなり、当時、 高貴な薬医にしか与えられなかった御屋敷門の形でした。昭和60(1985)年には京都府の有形文化財に 登録されました



さて、その名の由来「退蔵」という言葉は、「価値あるものをしまっておく」という意味で、 陰徳(人に知られずにする良い行い)を積み重ね、それを秘めながら布教してゆくという意味だそう。



境内には国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」(模本)や史跡名勝・枯山水庭園「先信の庭」 そして池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」など見所が多数あります。

国宝「瓢鮎図は室町時代の水墨画の先駆者、如拙の筆で日本最古の水墨画と 言われています。



境内を巡れば、600余年の歴史をもち、一年を通して美しい庭園と禅寺としての落ち着いた たたずまいが感じられる寺院。



応仁の乱後、1597年に再建された方丈は、剣豪宮本武蔵も精神修養した場とか。

禅と剣の道には精神的な共通点があるということで、武蔵もここに居して修行に励んだのでしょう。



また、史跡名勝・枯山水庭園「先信の庭」は、室町時代の画家、狩野先信の最後の作品と言われています



自らが描いた絵を実際に表現した庭で、、庭の背景には、やぶ椿、松、槇、もっこく、かなめもち 等、 常緑樹を主に植え、 一年中変わらない美しさ「不変の美」を追い求めた庭だとか。



白砂と石組で表現された庭は禅の観念的世界を表現しているのでしょう。

狩野元信が画家としてもっとも円熟した70歳近くの頃の築庭と推測されています。 自分の描いた絵をもう一度立体的に表現しなおしたもので、 彼の最後の作品が造園であったことがユニークですね。

この庭は、昭和6年(1931年)には、国の名勝史跡庭園に指定されました。

退蔵院は、池泉回遊式庭園「余香苑」などまだまだ見所満載です。

次号をお楽しみに。



DATA
臨済宗 大本山 妙心寺 退蔵院
京都市右京区花園妙心寺町35
TEL.075(463)2855
拝観時間:9:00〜17:00
https://www.taizoin.com/