特集: flânerie(そぞろ歩き)
<四季折々の京都>
第20回 相国寺界隈
6月の京都そぞろ歩きは、京都市上京区の京都御苑の北にある臨済宗相国寺派大本山、「相国寺」界隈を巡ってみたいと思います。
京都駅からは、地下鉄「今出川」駅、市バス「同志社前」停が便利です。
「相国寺」は、山号を萬年山と称し、正式名称は、萬年山相國承天禅寺。 本尊は釈迦如来、開基は足利義満、
開山は夢窓疎石によります。
14世紀末、室町幕府三代将軍の足利義満により創建され、応仁の乱の兵火により諸堂宇は灰燼に帰し、
幾度も焼失と復興の歴史を繰り返しましたが、多くの高僧を輩し、室町時代の禅文化の興隆に貢献しました。
創建当時は室町一条あたりに総門があったといわれ、北は上御霊神社の森、東は寺町通、西は大宮通にわたり、
約144万坪の壮大な敷地に五十あまりの塔頭寺院があったといわれています。
現存する法堂は日本最古の法堂建築として1605年に再建された建物です。
現在も境内には本山相国寺をはじめ、13の塔頭寺院があります。
そして山外塔頭として鹿苑寺(金閣寺)や慈照寺(銀閣寺)を擁していることをご存じでしょうか?
相国寺は室町幕府三代将軍 足利義満により創建され、金閣寺もほぼ時を同じくして義満により創建されました。
銀閣寺はその後年、同じく室町幕府八代将軍である足利義政により創建されています。
足利歴代将軍が創建した禅宗寺院として、本山である相国寺の塔頭寺院となり今に至っています。
そして現在においては、相国寺の山外塔頭として相国寺僧侶が任期制をもって相国寺とともに金閣寺、
銀閣寺の運営と後世への継承にあたっているそうです。
というわけで、相国寺は、京都五山の中でも2位に列せられる大寺院なんですね。
さらに相国寺の特徴として、若冲を筆頭に相国寺、鹿苑寺、慈照寺の宝物を多数収蔵していることがあげられます。
鹿苑寺書院にあった伊藤若冲による襖絵や、長谷川等伯による竹林猿猴図、円山応挙の諸作品やその他多くの国宝、
重要文化財等が承天閣美術館に収蔵・公開されています。
そこで、京都駅から地下鉄烏丸線に乗り、「今出川」駅から今出川通りを徒歩約10分同志社大学の脇道を
左折、総門に向かいました。
まずは、「承天閣美術館」を目指しましょう。
総門を抜けるとその先に見えるのが「香積院」と呼ばれる庫裏。
大きい破風やリズミカルな壁面が印象的な建物です。
敷地中央にある法堂(重要文化財)は、豊臣秀頼によって再建されたもので、
天井には狩野光信によって描かれた有名な鳴き龍があります。
承天閣美術館は、右手の入口を進みます。
美術館は、緑のアプローチの先に静かに佇んでいます。
承天閣美術館は、1984年(昭和59)4月、相国寺創建600年記念事業の一環として
本山相国寺・鹿苑寺(金閣)・慈照寺(銀閣)・他塔頭寺院に伝わる美術品を保存、
展示公開、修理、研究調査、禅文化の普及を目的として建設されました。
現在では、国宝5点、重要文化財143点を含む多数の文化財が収蔵・展観されています。
なんといっても伊藤若冲筆の素晴らしい水墨画、重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画
葡萄小禽図床貼付」と「鹿苑寺大書院障壁画 月夜芭蕉図床貼付」の常設展示は必見です。
往時に則った空間で静かに鑑賞できるのが何より素晴らしいです
DATA
・大本山相国寺
京都府京都市上京区 今出川通烏丸東入
075-231-0301
・相国寺承天閣美術館
京都市上京区今出川通烏丸東入
TEL:075-241-0423
http://www.shokoku-ji.jp/top.php
見所満載の承天閣美術館を満喫したら、今度は、寺町通方面へぶらりと向かいます。
この辺りは、寺町というだけあり、さまざまなお寺の並ぶ一角です。
京ちりめんや漬物で有名な「野呂本店」もあり、お土産を調達するにも便利。
さらに進むと左手に地元の人たちの間で親しまれている出町桝形商店街があります。
古来から鯖街道の終着点として有名な場所だけあり、鮮魚店が多いのが
特色です。
相国寺から寺町界隈は、閑静でさりげない京都が味わえる魅力的なエリア。
ここからさらに南へ下ると同じ通りでも一保堂や像彦などの老舗が並ぶ雰囲気の通となりますので、
お時間あればさらにそぞろ歩かれるのもおススメです。