特集:「My favorite parks 」
【26】重森三玲庭園美術館(旧重森邸)・・@
重森三玲は明治に生まれ、昭和に活躍した著名な作庭家です。
昭和40年代、私が農学部の学生だった頃、三玲は造園界の重鎮
としてまた造園史の研究者として活躍中でした。
私たちは現代の巨匠、彼の著書を読み、作品である庭園に学びました。
枯山水庭園の代表といえば何と言っても京都・竜安寺の石庭ですが、
油土塀に囲まれた空間の白砂の上に大小15石がバランス良く配置され、
シンプルで洗練された意匠の禅の庭です。
<京都・竜安寺の石庭(周りが油土塀)>
一方、三玲の庭といえば同じような素材を使っても似て非なり、
石庭の骨格となる石組には立石(石を立てて据える)を多く使い、
とてもダイナミックで、その肉付けにはグラフィックデザインのように
巧みに苔や白砂で地割し、超モダンです。
<重森三玲庭園美術館の庭の立石>
<石・苔・白砂による地割>
その全ての庭にコンセプトとテーマがあり、それがデザインと表裏一体
となっているのは特筆すべき点と思います。
<御簾ごしの茶室の坪庭(建物も庭の一部)>
本来一人前の作庭家になるには師匠の下で修行し、一定の年季を
経なければならない(徒弟制度)のですが、彼はそれを独学で極めた
非凡な人でした。
15歳の頃から茶の湯や生け花を習い長ずるに及んでは絵画や哲学を学び
その探究心は日本の歴史・文化・美学など多方面に及びました。
誰も手をつけなかった全国の庭園を調査・実測し、そのうちの243の名園を「日本庭園史図鑑」全26巻にまとめた偉業も含め、すべての三玲が作庭家
になるための師匠だったと言えるでしょう
重森三玲庭園美術館
京都市左京区吉田上大路町34
電話:075-761-8876(予約観覧制・有料)