第10回 サン・ジミニャーノ (San Gemignano)
ぶどうとオリーブ畑が点在し、ゆるやかに起伏を繰り返す、
トスカーナ平原の中央に位置するサン・ジミニャーノは、
多くの塔を持つ街として有名です。
サン・ジミニャーノ |
丘の頂の「美しき塔の街」はとても印象的。
サン・ジミニャーノ郊外のぶどう畑 |
この街の発展は、ローマとロンバルディア地方、そして
フランスへと続く道、フランチジェーナ街道の建設に始まりました。
この街道とピサーナ街道の合流地点にあたるため流通の拠点として
また、巡礼者の訪れる街として繁栄したそうです。
1150年ごろには、コムーネ(自治体)が結成され、13世紀ごろには
貴族の権力の象徴として、塔が次々に建設されました。
最盛期には、50メートルを超える塔も含め、72もの塔が
建造されていたといわれています。
その後皇帝派と法王派の抗争にも巻き込まれましたが、1353年、
この街のコムーネはフィレンツェのコムーネに合流し発展を続けます。
が、16世紀頃から、街道の利用が減ったことや
フィレンツェから見捨てられたことで、街も急速に減退しはじめます
他の多くの街では塔は不要なものとして取り壊されたのですが、
この街では幸か不幸かその経済的余裕もなく、
その後の戦争による被害もなかったため類まれな景観が残ったのですね。
塔の建設は防衛や監視、また、都市貴族のステイタスシンボルとして
中世に於いては、他の都市でもさかんにおこなわれていたのですが、
サン・ジミニャーノの特殊事情と、この街の市民が条例を作って
塔の保存をしてきたことで貴重な歴史的建造物を保護することができたのでしょう。
現在は14本が完全な形で残っていて、町並みや城壁とともに
地区ごと世界遺産として登録されています。
この街でも城壁の中は外来者の車は進入禁止なので、
サン・ジョバンニ門からは徒歩で。
サンジョバンニ通り |
門をくぐりしばらく進むとチステルナ広場にでます。
ここは街の中心でもあり、街の発祥の地。
広場の中心には八角形の立派な井戸があり、
戦前までは実際に地下の貯水池から水をくみ上げていたそうです。
チステルナ広場 |
側には7つの塔が立ち並ぶドゥオーモ広場やパラッツォコムナーレ、
コッレジアータ教会など見所はありますが、サン・ジミニャーノは
その遠景が何よりの見所かもしれません。
サン・ジミニャーノ遠景 |